伯方雪日の罵詈淘奴日記

罵詈淘奴=バーリ・トゥード=ポルトガル語で「なんでもあり」です
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<映画評> ゆれる
監督:西川美和
出演:オダギリジョー/香川照之/伊武雅刀/新井浩文


やけに評判がよくて気になってたので見ました。
「オダギリジョーと香川照之が兄弟」て情報以外まったく内容を知らず、対照的な兄弟のハートウォーミング癒し系ムービーてなイメージで軽い気持ちで行っちゃいました。

すみません…まるで違いました。

これは強烈。
どんな兄弟にもある、いや、どんな人間同士にもある、心のすれ違い。
普段我々は無意識的に妥協して回避しているそんな些細なズレを、ひとつの事件が、無残に顕在化させ、「傷」として露出させる。
そして司法がその傷に手を突っ込み、乱暴に押し拡げる。
ダメだ、見ていられない。
と思いつつずっと釘付けでした。

それにしても、抑制の効いた素晴らしい演出力。
全てをギリギリで見切っている。
また、香川照之の演技が凄すぎます。
デニーロや竹中直人のような、「どうどう?、俺って上手いやろー!」といった小うるさい演技とは一線を画すこれまたギリギリを見極めた素晴らしさです。

ギリギリの危うさが生んだ緊張感。これは傑作。
西川美和作品、初めて見ました。「蛇イチゴ」も見なければ。
| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 映画評 | 23:53 | comments(5) | trackbacks(165) |