伯方雪日の罵詈淘奴日記

罵詈淘奴=バーリ・トゥード=ポルトガル語で「なんでもあり」です
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<映画評> それでもボクはやってない
監督:周防正行
出演:加瀬亮/瀬戸朝香/役所広司/山本耕史

実はいまだ「シャルウィダンス」を未見だったりするほど周防正行に対して興味がなかったんですが、映画の日だし、わりと評判いいようだったので観てきました。
ううーん、なんというのか、「はい、よくお勉強しましたね」とでも言えばいいのか。正直、映画としては0点。
痴漢冤罪裁判というネタはいいところを突いてきたのに、それを取り上げた部分で終わっちゃっていて、そこから映画として飛翔させる部分がゼロ。
これならドキュメントを撮ったほうがよっぽど心理的に訴えるものができるだろう。
そもそもキャラがみな書き割りのようで死んでいる(「魂萌え!」を見た直後だから余計そう思ったのかもしれないが)。主人公の元彼女など登場する意味がさっぱり不明だし、山本耕史扮する友人も、なぜそこまで肩入れしてくれるのか、エピソードがまるでないために説得力を欠く。
このテーマに対する怒りに縛られて、ユーモア心を失っちゃったみたいですね。残念。


| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 映画評 | 18:15 | comments(50) | trackbacks(255) |
<映画評> 魂萌え!
監督:阪本順治
出演:風吹ジュン/三田佳子/寺尾聡/豊川悦司


ようやく今年一発目の映画を見ました。
原作は未読で、映画化と聞いたときにもふうん、としか思わなかったのですが、監督が阪本順治と聞いてこれは見なければ、と豹変。
たまたま邦画を見るようになったころに阪本監督のデビュー作「どついたるねん」を見て以来、ほぼ全てリアルタイムで追い続けてます。いつの間にかもうベテランと言ってもいいキャリアです。
阪本監督のなにがすごいか、ってとにかく俳優の既成の枠にない部分を掘り出して開花させる能力。
「王手」における加藤雅也、「ぼくんち」の観月ありさ、「トカレフ」の佐藤浩市などが好例でしょうか。
そして今回この映画ではもうその部分は前提であり、そこからさらに進んだキャラクター描写に対する凄まじい冴えを見ることが出来ます。
いいやつ悪いやつが明快な単純なキャラ立ては、わかりやすい話になっていいところもあるんでしょうが、この映画では違います。
現実においてはきわめて当たり前なのですが、一人一人のキャラがその長所短所いろんな部分を持ち合わせた渾然としたややこしい性格であり、それをわかりやすく演出する、という一見矛盾した難しいことを、見事な演出力できっちりと魅せてくれます。
素晴らしい。傑作。
個人的には林隆三がツボ。ものすごくおいしいぞ、このおっさん。
| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 映画評 | 18:01 | comments(35) | trackbacks(324) |