2005.08.24 Wednesday
<書評> 孤立、無援
著者:阪本順治
出版社:ぴあ 現代映画監督のうちで唯一、僕がそのほぼ全作をリアルタイムで見続けているのが阪本順治です。 「どついたるねん」を最初に見たときの興奮は今でも覚えています。続く「鉄拳」のあまりにも確信犯的なめちゃくちゃさ、四作目「トカレフ」のこの人、人間的にやばいじゃないかと思うような屈折具合など、確かな演出力の裏側にある「阪本順二という人間性」の面白さを見てきたつもりです。 最新作「亡国のイージス」を機に、この本が出ました。正確には著作ではなく語り下ろしです。 俳優のキャリアを一度リセットしてしまうかのような、まったく新たな魅力を引き出す演出力(「王手」の加藤雅也を見よ!)、天邪鬼としか思えないガキのようなひねくれっぷり、石井聰亙や井筒和幸の助監督時代から「亡国のイージス」までたっぷり浸れます。 この言葉が、なんだか端的に彼を表している気がしたので引用しておきます。 後ろ向きに全力疾走。そんな気分だった。(「トカレフ」撮影時の気持ち) |