2005.12.09 Friday
<書評> 千里眼事件 科学とオカルトの明治日本
著者:長山靖生
出版社:平凡社(平凡社新書) だいぶ以前に読んだ「偽史冒険世界」(ちくま文庫)が面白くて、この著者には注目していました。そのわりに「日米架空戦記集成」(中公文庫)とか「日露戦争」(新潮新書)とか買ったまま読んでないけど。 で、この千里眼事件です。いわずとしれた、明治時代に一大ブームとなった透視、念写の科学的解析がでっちあげだったのか、というあの話です。わかりやすくいえば、「リング」の貞子のモデルですね。 ま、僕はその場にいたわけじゃないし、この事件について研究しているわけでもないけど、やはりこれはでっちあげでしょうね。なにしろ厳正に実験すべき福来博士の態度が怪しすぎる。 しかし、実験としてはお粗末としても、学会の派閥争い的なことで妨害されたり、謎の催眠術師が介入してきたり、その流れが面白すぎ。 歯科医のかたわらこういうことを丹念に調べて書く著者に、敬意。いい仕事です。 |