2006.01.15 Sunday
<書評> デカルトの密室
著者:瀬名秀明
出版社:新潮社 面白かった。 タイトルからして密室殺人ミステリと思いきや、かなり形而上的問題を含んだSFでした。 人はなぜ意識をひとつしか持てないのか? そう考える意識は自分と不可分なのか? 「ロボット」をモチーフに、デカルトの根本思想「我思う、ゆえに我あり」に対する、「意識」というものへのまったく新しい概念の提示。 ハードSF的手法でディティールを積み重ねながら、物語を破天荒に拡散させるのが瀬名作品のキモ。そういう意味ではラストの爆発が少し足りなかったかな、とも思いますが、このテーマでエンターテインメントできるというのは素晴らしい筆力だと思います。 常に「学者」としての視点と「物語作家」としての視点がギリギリでせめぎあっているのが魅力です。 オススメ。 |