2005.10.15 Saturday
<書評> あの日、少女たちは赤ん坊を殺した
著者:ローラ・リップマン
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫HM) ハヤカワさんこの秋の一押しらしく、ゲラで頂戴したので読んでみました。 僕は裏表紙のストーリー概要とか解説とか登場人物一覧で、ある程度気構えを作って入り込んでいくのが好きなので、そういうのが何もないゲラというのは、どういう話なのかが掴みづらくてなかなか読みにくいもんですね。 ある夏の日に二人の少女が起こした赤ん坊の誘拐、殺人。七年後施設から出てきた二人は互いに合わずにいたが、その直後から周囲で子供の失踪事件が相次ぐ。以前の事件での被害者の親の密告で再び少女たちに警察、マスコミが近づく。果たして彼女たちと事件とのかかわりは…。 という感じ。少女たちの、なんとも薄い加害者意識というか、無垢な残忍性がかなり怖い。二人の関係の危ういバランス、加害者の親、被害者の親の心理。いずれもなんというかノーマルとアブノーマルすれすれに飛行している感覚が秀逸。ただ、惜しむらくは今ひとつ起伏がなくてなんとも話が盛り上がらないこと。うーん、惜しい。好みではありました。 |