2005.08.08 Monday
<書評> 震度0
著者:横山秀夫
出版社:朝日新聞社 横山秀夫の警察小説の新作です。ふふふ。 神戸を襲った震度6の大激震。そこから離れたN県警本部では、警務課長の失踪事件に揺れていた。若い女性と車に乗っていたとの目撃談が。 スキャンダルに発展しそうな事態に、本部長、警務部長、刑事部長、警備部長、生活安全部長、交通部長たちの密室での綱の引き合い。 刑事たちは、外では自らの組織のことを「カイシャ」と称する。 この話は、その通り警察もひとつの会社なんだ、ということを嫌というほど露呈する。派閥、人間関係の描写がエグイエグイ。 キャリア対叩き上げ、同期の出世争い、天下りポストを巡るおもねり…。 刻々と死者が増えていく神戸の状況を尻目に、腹を探り合い、敵味方が激しく入れ替わる。 いやあー地味。ホントに地味。ひたすら地味。そこがたまらない。 相変わらずキャラ立て、描き分けが見事。誰がどの情報を握り、何を欲しているのか、その辺の匙加減と舵取りが絶妙。面白かった! |