伯方雪日の罵詈淘奴日記

罵詈淘奴=バーリ・トゥード=ポルトガル語で「なんでもあり」です
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本ミス大賞とかインポケとか
明日が本格ミステリ大賞の候補作推薦アンケート締切日だったので、今メールで投票しました。来年はぜひとも(可能性だけでも)選ばれる側に回りたいもんです。ま、俺次第。

講談社の文庫サイズの月刊誌「IN POCKET」の今月号に短文を寄せています。これは本屋としての仕事。
こういうのって「いついつまでにお願いします」と言われるだけで、条件面の提示は一切ないんですよ。そういうのってちょっと失礼ですよね。
ギャラがないならないでもいいんですが、事前にちゃんと言ってくれよ。
いまだにこの仕事でなんかもらえるのかわかりません(実物すら送られてきていないぞ)。だから正直少し手抜きしてます。

さて、今日はお休み。引きこもって小説書きです。連作ではない、事実上初の長編なので悪戦苦闘しています。まだまだ先は長い。
| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 作家活動 | 11:57 | comments(4) | trackbacks(47) |
<書評> 包帯クラブ
著者:天童荒太
出版社:筑摩書房


「永遠の仔」以来七年ぶりの天童荒太の書き下ろし。
ゲラで読ませていただく機会を得ました。
「人の心の傷」に対し常に自身の思いを過剰なまでに作品に注ぎ込んでしまう彼ならではの、まさにリアルタイムな天童荒太がここにある。
「家族狩り」→「永遠の仔」→全面改稿文庫版「家族狩り」→本書、という流れを俯瞰すると、ああ、こういうのを書かねばならなかったんだな、というのが実に納得できる。そんなお話です。
「傷」を描くための殺伐とした描写、設定というのは今回ほとんどありません。フレームを小さくして、身近な悩みに対し優しく思考する、静かな佳品です。
同じような話はいろんな人が書いてるかもしれませんが、「天童荒太の歴史」が確かに刻み込まれているからこそ、この本のせつなさと優しさが際立つのでしょう。
面白かったです。

それにしてもなんでこれがちくまプリマー新書で出るの?
まあいいか。二月に発売予定です。
| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 書評 | 07:11 | comments(6) | trackbacks(3) |
<書評> デカルトの密室
著者:瀬名秀明
出版社:新潮社


面白かった。
タイトルからして密室殺人ミステリと思いきや、かなり形而上的問題を含んだSFでした。
人はなぜ意識をひとつしか持てないのか?
そう考える意識は自分と不可分なのか?
「ロボット」をモチーフに、デカルトの根本思想「我思う、ゆえに我あり」に対する、「意識」というものへのまったく新しい概念の提示。
ハードSF的手法でディティールを積み重ねながら、物語を破天荒に拡散させるのが瀬名作品のキモ。そういう意味ではラストの爆発が少し足りなかったかな、とも思いますが、このテーマでエンターテインメントできるというのは素晴らしい筆力だと思います。
常に「学者」としての視点と「物語作家」としての視点がギリギリでせめぎあっているのが魅力です。
オススメ。
| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 書評 | 06:57 | comments(6) | trackbacks(2) |