伯方雪日の罵詈淘奴日記

罵詈淘奴=バーリ・トゥード=ポルトガル語で「なんでもあり」です
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<書評> 本格ミステリ05 2005年本格短編ベストセレクション
編者:本格ミステリ作家クラブ
出版社:講談社(講談社ノベルス)


なかなか時間がなかったんですが、まあいくらなんでもこれは読んでおかねば、ということでようやく読了。
以下短評。

小林泰三「大きな森の小さな密室」
犯人当てとして問題編・解決編と別れているだけあって、最小限の情報量でタイトにまとまっていて心地よい。

山口雅也「黄昏時に鬼たちは」
上手い。ひきこもりの人々という難しい題材を使いながら、見事に「隠れ鬼」という遊びとテーマをリンクさせ、トリックも綺麗に決まった。

竹本健治「騒がしい密室」
ジュブナイル小説のようなキャラ設定や台詞が好みではないが、本格としてのまとまりは実に綺麗。傘のイニシャルに関してはちょっと疑問だが。

伯方雪日「覆面」
ノーコメント…。

柳広治「雲の南」
マルコ・ポーロが語り手だが、歴史モノ的な薀蓄はほぼ皆無なので妙に寓話めいたファンタジックなお話に。そのあやふやな世界観が二段構えの解決に上手く寄与。

三雲岳斗「二つの鍵」
こっちの探偵役はレオナルド・ダ・ヴィンチ。いわゆる「公開鍵暗号」を中世に持ち込んだ話で、考え抜かれた論理が美しい。お気に入り。

柄刀一「光る棺の中の白骨」
うーん、これも見事。扉を溶接した厳重な密室の中にあるはずのない白骨死体。オチはそんなことできるのか、とも思ったが、この奇抜で強引だがおもしれー!という発想はまさに柄刀ワールド。本書中ベスト。

鳥飼否宇「敬虔過ぎた狂信者」
この著者は初体験。なんとも妙な名前やキャラがヘンに胡散臭い世界だが、ネタは王道。なんだかミョーに後に残る作品だった。誰が探偵役なのかもよくわからないし。

高橋葉介「木乃伊の恋」
マンガ作品。あえてここに載せるようなものかよくわからないが、幻想的な謎と合理的な解決、という意味では確かに本格か。絵柄はあまり好きではないです。

天城一「密室作法」
評論。残念ながら未読の作品のネタバレ(というかこの型のトリックはこの作品に使われている、というような分類)が多く、ざっと流し読みしかできなかった。あまりにも古典を読んでいない自分が情けない。
| 伯方雪日(はかたゆきひ) | 書評 | 23:37 | comments(13) | trackbacks(0) |